GZERO Summit とは?
新型コロナウイルスの脅威が世界を席巻する前から、世界は新世代の地政学的脅威に直面していました。国境問題に始まり、テクノロジーの進歩に伴う未来の仕事への不安、南シナ海上の人工島、遠隔地の選挙を標的にするハッカーの存在。こうした世界の諸課題は国内政治にも波及し、世界の最もダイナミックな民主主義国家の中心にまでポピュリズムの台頭が及んでいます。
そこに現れた新型コロナウイルスという未曾有の健康・経済・地政学的危機は、コロナ後の世界がどのようなものになるのか、多くの疑問を投げかけています。国家、企業、個人のレベルで、「ニューノーマル」の輪郭に合致した多くの興味深い傾向が現れています。
少なくとも10年前から着実に現実味を帯びてきた強力なリーダーシップのないGゼロの世界は、今では致命的かつ世界的なパンデミックと、ともに迫り来る経済恐慌によって加速しています。この危機への対応を誤れば、致命的な地政学的対立につながる可能性も低くはありません。
Gゼロの世界では、地政学リスクを理解することが必要不可欠です。こうした背景のもと、日本は台頭する世界の無秩序の中で独自の立ち位置を見出しています。混迷する米国と、急拡大する中国に挟まれながら、日本は先進国の中で実質的に唯一ポピュリズム政党がない国となっており、また国のあり方を変えるほど深刻な賃金の停滞は米国やEUほどには見られません。これがGゼロの世界における日本の潜在的なリーダーシップの基盤なのです。
今年のサミットの目的は、世界のリーダーシップの空白に対処し、リーダー同士の再連携と回復に向けた持続可能なロードマップを提供するためのアクションを模索することにあります。ユーラシア・グループは、 GZEROサミットが世界でトップクラスのグローバルフォーラムとなり、将来世界を一新できる交流、議論の場を創り出すことを第一の目標に掲げています。